2016年12月15日、ユニオンと株式会社Benefit(富沢みなみ保育園の運営会社)は一連の問題解決の一環として、「ホワイト求人労働協約」を結びました。また、会社は未払い賃金の支払いにも応じ、この件は円満解決となりました。詳細はこちら

 2016年7月21日、仙台市にある、「富沢みなみ保育園」(株式会社Benefit)に対し、労働基準監督署から労働基準法違反の是正勧告がでました。この保育所の元従業員Bさんは、介護・保育ユニオンに加盟し、改善を求めての話し合いを今年5月から行っていたところでした。

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○求人の誤記や残業代未払いがあった

 当事者であるBさんは、21歳の女性で、2015年に新卒で「富沢みなみ保育園」に入社しました。短大に来ていた求人票には、基本給145000円・業務手当40000円・資格手当10000円の計195000円及び住宅手当20000円と記載されていました。その後、企業説明会の際、給料月額18万円~22万9000円(一律手当含む)と記載された資料ももらい、実際の契約書では、給与は総額180000円になっていました。内訳は、基本給130000円・資格手当20000円・業務手当30000円であり、そのうちの業務手当30000円は31時間分(のちに27時間分に変更)の固定残業代でした。Bさんは、求人内容が契約内容になると考えていましたが、求人は誤記があったようで、実際の契約内容は違いました。

 さらに、この保育所での働き方はいくつもの問題がありました。恒常的に毎日1~2時間程度の残業があり、保育所における行事の前には持ち帰り残業も多かったのですが、残業代は未払いになっていました。固定残業代は法的な要件を満たしておらず、たとえそれが合法でも、規定された時間を超えた分が支払われていません。ユニオンが計算した未払い残業代は、約90万円でした。また、休憩も基本的にとれませんでした。園児が昼寝をしている部屋での休憩を強いられ、園児が起きてくるとその相手をしたり、園児たちの連絡帳を書いたりする必要がありました。

○「証拠はださない!法律違反はない!」と豪語していたのに・・・・

 Bさんは、過酷な労働環境により体調不良になり、2016年4月に退職しましたが、ユニオンでの交渉を決意し、介護・保育ユニオンに加盟し、会社に対し、未払い残業代の請求や保育環境の改善を求め話し合いを求めました。6月7日に第一回目の話し合い(団体交渉)が開かれましたが、会社は、労働時間の客観的な資料なども一切開示していないにもかかわらず、未払い賃金や持ち帰り残業はなかったと言い張り、Bさんの要求に対しては全く答えませんでした。さらに会社は、代理人弁護士を使って、Bさんの両親あてに、理由のない損害賠償請求を送りつけてきました。これは、明らかな脅しだと、ユニオンとしては考えています。

○労働基準監督署からでた労働基準法違反について

 会社の、「違法がない」という主張は通りませんでした。労働基準監督署から出された指導は次の点です(内容は、会社が組合に説明したもの)。

・労働基準法32条違反:変形労働時間制について
→会社は1年単位の変形労働時間制をとっていたが、法定通りの運用をしていなかった。
具体的には、当月内にシフトが変更になることが多々あった

・労働基準法34条違反:休憩時間について
→8時間以上の労働時間に対しては1時間の休憩を取らせなければいけなかったが、できていなかった

・労働基準法37条違反:割増賃金について
→「固定残業代」で想定されている時間外労働があったが、その分の残業代を払っていなかった

・労働基準法106条違反:賃金台帳等について
→適切に労働時間等が記載されていなかった

○「富沢みなみ保育園」の取締役は、Bさんに対して謝罪し、保育所の運営を改善してください!

 私たちは介護・保育ユニオンは、引き続き、会社に対して改善を求めて行きます。介護・保育ユニオンはこの事件の解決のために、全力を尽くします。今後もご注目いただければ幸いです。

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