ユニオンで取り組んでいた「なとりおひさま園」(キンダーナーサリー株式会社)の争議が解決しましたので、ご報告します。
この園では、求人詐欺、労基法違反、パワハラや保育の質について問題がありました(過去ブログ参照)。
子どもたちのためにも、自分たち保育士が働き続けていくためにも、2017年8月、この園を改善したいと思った保育士7人(園全体の約半数)がユニオンに加盟し、会社に改善を求めていました。
〇問題解決をしようとしない園長に、ストライキを構えて迫りました
交渉を始めて1カ月ほどで、園長のパワハラなどは改善させることができました。ところが、未払賃金や保育の質(子どもの安全)については、園は不誠実な対応を続けました。
そこで私たちは、問題解決のため、ブログ等で社会的に発信したり、保護者への協力依頼や市役所への申し入れなど、関係者への協力要請を行いました。また、保護者のみなさんにも、改善を求める保護者の署名にご協力いただき、園に改善を迫りました。
それでも園は問題を改善しようとはしませんでした。
やむに已まれぬ思いで、2018年3月、私たちは、ストライキの実施を決意しました。保育士が職場を放棄すれば、多くの利用者に迷惑がかかってしまうことはわかっていましたので、ストライキは並々ならぬ決断でした。それでもこのままで改善をあきらめては、子どもの安全は守れませんし、私たちもとても続けていくことができなかったので、最後の手段に出たのです。
ストライキと言っても、私たち保育士が本当に職場から離れてしまっては、問題が起きかねません。そこで、保護者のご協力をお願いして、ストライキが実施された場合には、できるだけお子さんを保育園に連れてこないようにお願いしたり、ストライキ中に保育園で子ども見守る、組合員を配置したりなどして、子どもの安全を守る体制も整えることにしました。
〇ストライキ予告から解決へ
今年3月、私たちは、ストライキを実施することを園に予告し、名取市役所にも窮迫した事態があることを報告しました。すると、園には問題があると感じたのか、市役所は園に対して強い指導を行うと約束してくれました。
その結果、ストライキの実施の前に、園から以前と比べて大きく前進した改善案が出だされました。
その後、交渉を重ねた結果、3月末には問題解決のための大枠の合意ができ、4月末をもって、2017年8月に申し入れをした内容については一定の解決となり、ストライキは回避されました。
〇交渉の結果、労働条件が大きく改善
今回の一連の成果としては、主に以下のようなことがあります。
・残業代未払いをタイムカード通り支払う
・今後、賃金は1分単位で支払う
・休憩時間がとれるようになった
・過去に休憩時間が取れなかった分は、半分の時間を未払賃金として払う
・求人詐欺問題の解決のため、当該保育士に賃上げを行い、過去の賃金との差額を一定額支払う
・園長はパワハラをしなくなった
・保育の質に問題がある保育士に会社として指導していく
・etc
働条件は大きく改善され、働き続けやすい環境にすることができました。また、組合員の一人は法定通り育休を取得することができました。これから産休・育休も法律通りに取ることができるはずです。
私たちが獲得したのは、労働条件の面では、労働基準法で定められた最低水準のものです。それ以上に大きかったのは、私たち保育士が一致団結して、私たちのことを園は対等な話し合いの相手として認め、いろいろなことについて、園としっかりと話し合いをできる環境が作れたことです。これからは、小さなことも、大きなことも心置きなく、園と話し合えます。
〇今後もより良い職場にしていくため、今後も改善を続けていく
労働条件については一定の改善がなされましたが、シフト作成や人手不足の問題など、いまだに改善すべき点が残っています。また、保育の質を向上させていくことも大きな課題です。それらを引き続き改善し、よい保育園にしていくため、私たちは在職組合員らとともに、引き続き改善を行っていきます。今後ともご支援よろしくお願いいたします。
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