宮城県の特養で働いていた介護士Nさん(40代、男性)が、休憩がとれない、夜勤手当が支払われないなどの問題を団体交渉で解決しましたので、ご紹介します。

〇夜勤一回で6000円の未払い賃金!
 この特養では、夜勤の際、夜勤手当が4000円)支払われるだけでした。給与計算の誤りもあり、夜勤1回につき1日6000円程度の未払賃金が発生していました。

〇 休日出勤~~代休なしでも、割増賃金なし。
 Nさんのいた施設は、スタッフが休日出勤をした場合に、代休が取れる制度の施設でした。代休を取ることができるなら、一週間あたりの労働時間は変わりませんので、休日出勤をしても割増賃金を支払う必要はなくなります。
ところが人手不足のため、代休が取れないことがほとんどでした。それなのに、割増賃金の支払いもなし。休日に出勤したのに、ひどい扱いです。

〇劣悪な労働環境で、いつまでも解消されない人手不足。
 Nさん以外のスタッフも上司に「ちゃんと休みがほしい」とお願いしていましたが、「人が足りないから仕方ない」と居直る始末。本当にひどい状態でした。
こんな状態なので、入った人がすぐに辞めてしまい、いつまでも人手が足りない状態でした。悪循環が生まれていました。

〇ユニオンに相談、一度の団体交渉でスピード解決。
 理事長は「申し訳なかった」

 Nさんはこの施設を退職していましたが、今も残る同僚から、「働き方がきつい状況は変わらない」という連絡を受けました。自分は辞めたけども、今も残る人たちのために労働環境を改善してほしい。労働環境が悪いから人が定着していないことを理解してほしい。そう思い立ったNさんは、ユニオンに相談し、法人に改善を求めました。
 Nさんは、ユニオンのサポートのもと、労働基準監督署に賃金未払いなどの法令違反を通報。労働基準監督署からは割増賃金の未払いに関する是正勧告(労働基準法第37条違反)も出ました。
その後、団体交渉も行ったところ、出席した理事長は「申し訳なかった」と率直に謝罪しました。そして、未払賃金を支払い、今後労働環境を改善していくことを約束してくださいました。
 1年強の期間の未払い賃金は、約45万円にもなりました。

〇Nさんのコメント
「ユニオンに親身に話を聞いてもらえて、安心して交渉にのぞめた」
「みなさんにも勇気をもって相談してほしいです」

 最初は、法人から仕返しがあるかもと、労働基準監督署や団体交渉などで、元職場に改善を求めることに不安やためらいがありました。自分一人ではできないと思っていたところ、新聞でユニオンを知り、勇気をもって相談してみました。
 ユニオンに相談することも最初はとても不安でした。しかし、親身になって話を聞いてもらえて、安心して、一緒に動いてもらうことにしました。
 ここまでいろいろやってきて、法人側が非を認めて改善を約束してくれたので、自分がとった行動は間違っていなかったと思っています。団交中も緊張しましたが、理事長から「申し訳なかった」との言葉が効けてホッとしました。
 今回の自分の経験からは、職場内でおかしいと思っていることがあれば、勇気を出して誰かに相談すべきだと思いました。一人で悩んでいても解決できません。勇気を出して、専門的な知識を持つ人に相談すべきですし、自分の身を守るためにも、最低限の労働法は覚えていた方がいいと思いました。また、介護職員は、いい意味で、お金に関して貪欲になった方がいいとも思います。
 私の他にも、苦しんでいる人はたくさんいると思います。今後は私も、他に苦しんでいる人の力になりたい。介護士のみんなで力を合わせて、介護士の待遇や職場環境をよくしていきたいと思っています。

**********************************
当ユニオンへのご相談やお問い合わせは、下記の連絡先までどうぞ
TEL:03-6804-7650(平日17時~22時 土日祝12時~22時)
MAIL:contact@kaigohoiku-u.com
HP: https://kaigohoiku-u.com/
twitter:@kaigohoiku_u
Facebook: 介護・保育ユニオン
**********************************