社会福祉法人和徳会(理事長兼園長:岡本幹緒氏)が運営する認可保育園の長津田幼児アカデミー(横浜市緑区)で働く保育士たちが介護・保育ユニオンに加盟し、同法人の保育園の不正受給と突然の閉園に抗議し、誠意ある対応を求めています!3/9は職員5名が終日ストライキを行いました。
○突然閉園と保育士の「使い捨て」
長津田幼児アカデミーは、2022年3月末で閉園をします。しかし、そのことを職員が知らされたのは2022年1月7日になってからでした。聞かされたその日に、職員は、保護者に対して閉園の連絡をするよう園長から指示されました。行政の手配により、利用者は4月以降の転園先はすでに決まっています。一方で、保育士は「使い捨て」される状態になっています。
正社員のうち、2人は12月に雇い入れられており、勤務後たった一ヶ月で閉園を告げられたことになります。その他の正社員も、一番勤務が長くて昨年8月からであり、総じて勤務時間が短い中で閉園を告げられました。職員は、4月からの働き場所をまた探さなければならず、短期間での転職活動を強いられています。
あまりにも理不尽な対応だったため、正社員保育士が介護・保育ユニオンに加入し、団体交渉を法人に申し入れました。
○行政から3400万円を不正受給
団交申し入れ後、横浜市との話し合いの中で、保育園運営のための行政から園に支給される費用の不正受給を法人がしていたことが発覚しました。この法人では、本来は働いていない職員の人件費を上乗せして請求するなどして2016年度から総額3400万円を不正受給していました。市からの返済要求をきっかけとして、法人は閉園を12月末に決定しました。
さらに、運営費の不正受給とは別に、3600万円の負債があるとのことです。
○「保育の質」に関わる問題
園長兼理事長である岡本氏は保育現場に顔を出すことは無く、保育室のあちらこちらに監視カメラが設置されていて、職員との会話は内線電話のみです。
職員は、下記のような事を園長から毎日のように言われ、時には電話口で怒鳴られたこともありました。
「室内では足音をたてるな。」「泣かすな。」「園庭では静かに遊べ。しゃべらすな。」
幼児が感情の表現で泣いたり、大きな声を出したりするのは必然のことであり、動き回るのは足腰を鍛える成長過程での重要な動作です。それにもかかわらず、上記のようなことを度々言われました。
○ストライキ
3月3日に団体交渉が行われましたが、終盤まで、園長岡本氏から保育士への謝罪はなく、謝罪を求めると、「じゃあ謝罪します」と口先だけの姿勢でした。子どもに対する保育をおざなりにしたうえ、職員に就職から数ヶ月で閉園と解雇を言い渡す結果になったことに、全く心からの誠意ある対応がありませんでした。ストライキを決行する方向で良いか尋ねても、「まぁ、子どもと保護者は困るよね」と、園長の発言は他人事のようでした。
多額の不正受給を行い、その返済をきっかけとした閉園および解雇に対して、抗議の意を示し、謝罪や説明など誠意ある対応を求めて、保育士5名が3月9日に終日ストライキを決行しました。
○2000年以降の「保育のビジネス化」の問題
長津田幼児アカデミーは2016年度から総額3400万円の運営費を不正受給していましたが、2016年度以前は書類の保管期限が過ぎてしまい、確認できないとのことで、不正があったとしてもわからない状態です。そして、横浜市は現場からの通報まで不正受給について気づかなかったとのことです。監査で見抜くことは難しく、再発防止策も特にないと発言しています。行政は待機児童対策の一方、保育の市場化を野放しにしすぎなのではないかと思います。
2000年以降の保育の市場化で、ケアの質や労働者の環境を考えず、行政から運営費を「中抜き」する金儲け目的の経営者が蔓延しています。行政も経営者に甘く、労働問題に無関心です。その結果、突然閉園や一斉退職が相次いでいます。今回のストライキは、保育がビジネス化されてきた現状に対してのストライキでもあります。
法人には私たちの訴えを真摯に受け止めてきちんと誠実な対応をしてもらいたいです。私たちは諦めずに会社と交渉をしていきますので、皆さん是非応援をよろしくお願い致します。