東京都の認証保育所で起きた不当な賃金カットや労働基準法違反などの問題に対して、従業員2名がユニオンに加入し、改善を求めていました。
 その件が解決したので、経緯や結果、メッセージをここに紹介します。

Aさん(40代女性)
 私は、約5年勤めた会社に対しユニオンを通して改善を申し入れました。内容はほぼ受け入れてもらえ、解決出来ました。具体的な経緯は、以下の通りです。

○第三者評価に会社の問題点を言ったことで、賞与カットに
 約5年間、会社にそれまでも多少の不満はあったものの、社会で働く中ですべて満足できることはないだろうと納得していました。それでもやはり改善してもらいたいと思い、昨年度の秋に、第三者評価で会社の運営や、職員に対する処遇の在り方などの日頃の疑問を書き、解答を求めてみました。
 すると、会社は、第三者機関に会社の実情を書いたであろう職員を個別に呼び出し、何を書いたか聞きだそうとしました。まるで犯人捜しのようでした。私も呼び出されました。そもそも、第三者評価は匿名で自由に記入出来るものなのに、個人の特定はいかがなものだろう?と思いました。特に記入した内容については触れずに解答を待つことにしました。
 私が書いた疑問や改善案に対し、会社は、園内で話し合うようにとだけ言い、会社からの解答はないままでした。この時、第三者機関に会社の問題点を書いた職員3人は、その年の冬の賞与を、他の同僚より減らされました。明らかに第三者評価に会社に対する不満を書いたと決めつけての対応だと分かりました。この年は園長の交代に合わせ異動者が多く、呼び出された3人で新年度の準備から新しく配属された職員をサポートしてやってきた中で、賞与が減らされたことにがく然としました。

○キャリアアップ助成金もカットでユニオンに相談。業界完全に向けてできることをしたい
 この会社には長く勤めても認めてもらえることは今後もないだろう、と退職を考えました。すると、退職意思を伝えた職員に対しては、さらに年度末に支給があったキャリアアップ助成金の従業員支給分も、その年の貢献度に関係なく減額されてしまいました。
 今まで人員不足で休憩が取れなくても、日々の業務、行事前や年度切り替えの準備等でサービス残業になっても、この業界は多少は仕方ないと諦めていましたが、このままでいいのかという気持ちになり、ユニオンに相談しました。
 ユニオンは本当に親身になって話を聞いて下さり、会社に改善を求めてみようと思いました。一度諦めかけたこともありましたが、今後も保育業界で仕事をしていこうと思ってますので、業界改革の礎になればと奮起することにしました!

〇申し入れた内容を、会社に全面的に受け入れさせることに成功
 不当評価に対する改善や未払い賃金などに留まらず、今後会社として正規職員の処遇改善、パート職員の有給休暇消化などに対する処遇の改善を求める要求書を会社に提出しました。結果は、冒頭に書いたようにほぼ受け入れてもらうことができました。
 賞与の評価の基準を説明されると業務に関係のないプライベートな内容でマイナス評価がされたという内容が含まれていることが分かりました。会社も問題点を認め、今後、評価に職員の処遇改善にも前向きな改善をしていくとの解答で、減額分は返還してくれました。改善案も伺い納得することにしました。

○より働きやすい保育園の環境をつくりませんか?
 保育に関わるお仕事をする皆さん。日々の業務に追われ、こうあってほしいと願う職場環境に対して不満を感じていても何かすることはハードルが高いと思います。でも、そのままでいいのでしょうか?未来ある子どもたちと関わり成長を楽しみにできるこんないい仕事を、より働きやすい環境で続けていけると、やりがい、充実感が得られると思います。
 私たち保育士の未来、そしてこれから保育士を目指す方々の為にも今できることをしませんか?
 今、私は職員同士が支えあい、休憩もしっかりあり、残業代も支給され、会社の方針もしっかりしている職場で働いています。日々子どもたちと楽しく関わりながら、充実して保育に臨めています。正直、保育業界には希少価値の高い職場だと思います。
 どうか、このような職場が増えてくれることを願っています。

Bさん(20代女性)
 一回目の交渉で社長が「実態を把握し、改善をしたい」という言葉を聞けたときには、ホッとしました。

〇良い職場を求めて繰り返した転職・・・・・
 私は初めて保育士として働き始めた時からずっと保育の労働環境への不信感がありました。終わらない仕事に追われて残業しても当然のように残業代はない、休憩も取れない、サービス精神でどこまでも要求される。
 子どもの人数が多い中で保育士の人数はぎりぎりで帰宅する頃にはくたくたな状態で過ごすことにも疑問を持っていました。
 だから9年間の間に三つの保育園で働きました。「ここでだめでも次行くところはちゃんとした労働環境かもしれない」という思いで転職をしてきました。ところがどの保育園も労働条件に変わりはありませんでした。仕事も子どもたちも大好きだけど、この仕事を続けていくことに不安を感じていました。今まで同僚や先輩が何人も保育士を辞めていくのをみてきました。中にはもう二度と保育士をしたくないという人もいました。

〇悪い環境を「仕方ない」とあきらめず、「一緒に改善しよう」
 いままで労働に関することを誰かに相談したい、誰かに話を聞いてほしいと思い続けてやっと辿り着いたのが介護保育ユニオンでした。私が今まで働いてきた中でこれは法律違反では?と思ってきたことを“仕方がないこと”ではなく、“一緒に改善しましょう”と言ってくれたのが、ユニオンです。
 団体交渉の準備を進めていく中でたくさんの葛藤がありました。いまから自分がすることは間違っているのではないか、これからすることで誰かが傷ついたり、嫌な思いをするのではないか等の不安がありました。そんなときも励ましの声をかけてくれたのがユニオンです。
 私は退職することは決まっていたのですが、「残される子どもたち、職員のひとたちのために出来ることをしよう」と気持ちを立て直すことができました。
 実際に団体交渉をするときには初めての経験で緊張しましたが、一緒に同行してくれたユニオンの方、一緒の職場の先生と共に行えたのでとても安心しました。

〇「普通に働いていきたい」という思いを実現するために、改善していきたい
 私たちは世間一般の人と同じ水準で仕事をして生活したい、とずっとずっと私は思ってきました。
 団体交渉するまでにすごく年月はかかってしまったけれど、少しずつでも改善できればと思いやっと行動することができました。もちろんひとりではできなかったし、一緒にやろうといってくれた保育園の先生、ユニオンの人たちがいたからです。ユニオンの方にはたくさんの時間をかけて知恵を貸していただき本当に心強かったです。
 今後は少しずつ改善していけるようユニオンの方々と保育士の労働条件を改善していけたらと思います。

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